ラベンダー。それはアロマテラピーに興味をもつ人なら誰もが一度は耳にする名前ではないでしょうか。
またアロマテラピーを始めてみようという人にとって、まず手にする精油(エッセンシャルオイル)のひとつがラベンダーという場合が多いかもしれません。
事実、ラベンダーはアロマテラピーの代表的な精油のひとつであり、その香りや効果・効能、安全性などが他を抜いてダントツです。
プロのアロマセラピストでラベンダーの精油を持ち合わせていない人は世界中を探してもいないでしょう。
しかし、店頭などで売られているラベンダーの精油の香りの好き嫌いだけでラベンダーを使わない選択をしているとすれば本当にもったいないことです。
今回、ラベンダーのエッセンシャルオイル(精油)を使ったことがある人もない人も、アロマテラピーにおいてその驚くべき万能たる効果・効能はもちろん、おすすめのブレンドや使い方など余すことなくその魅力をお伝えしていこうと思います。
まずは、ラベンダーの精油を効果的に使いこなすために必要となる基本知識を確認していきたいと思います。
ラベンダーの精油を使うために必要な基本知識
そもそも精油とは何か?
精油(エッセンシャルオイル)とは、アロマテラピー(芳香療法)で欠かせない、薬用植物や果実などから抽出した芳香成分を含む天然物質です。この含まれる芳香成分の香りの作用と、成分のもつさまざまな特性を活用して、心や体の不調和を癒やすために使います。
*精油の心や体への作用の仕方について詳しく説明した別の記事もありますので、是非、参考にしてみて下さい。(関連記事)【アロマテラピー】エッセンシャルオイル(精油)の香りは嗅ぐだけでも効果が凄い!その2つの秘密とは?
精油についてはまた詳しく別の記事で取り上げたいと思いますが、ここでは次の点についておさえて下さい。
それは、’植物から抽出した精油の芳香成分が、心や体へ作用する香りと効果・効能をもたらす’ということです。
これを理解することで下記のことを確認することができます。
- 人工香料には心や体を調和するアロマテラピーの効果・効能はない。
- 効果・効能を得るために、有効な芳香成分を含む品質の精油を使うこと。
- 有効な芳香成分を含む精油についての情報を知る必要がある。
実際、入浴剤や芳香剤などの商品で使用されている人工香料のラベンダーの香りが、ラベンダーの精油の香りと同じだと勘違いをしている人も少なくありません。
安心・安全でかつ、効果・効能が期待できるアロマテラピーを楽しむために、必ず使用する精油の品質に関する情報を知る必要性を理解して頂けましたか?
ラベンダーの精油について正しく知ろう
さあ、いよいよ本題に入ります。効果・効能が期待できるラベンダーの精油についての情報をお伝えします。
実は精油には一般名称と呼ばれる私達に馴染みのある名前だけでなく、抽出した植物を正確に特定するための植物学名があります。
一般的に期待できる効果・効能をもつ精油のラベンダーの植物は、正確な植物学名を含め下記の基本データをもちます。
ラベンダーの精油の基本データ
アロマテラピーで活用できる効果・効能をもつ精油のラベンダーは、正しくは「真正ラベンダー」という名で区別されます。
- 一般名称:真正ラベンダー
- 植物学名:Lavandula officinalis / Lavandula angustifoglia
- 植物科名:Lamiaceae/Laviatae(シソ科)
- 主な原産地:フランス、イギリス
- 抽出部位:花の先端と葉
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- ノート:ミドルノート
- 主な成分:酢酸リナリル(30%〜)、リナロール、ゲラニオール
上記の植物学名や有益な芳香成分が含まれていることを確認できるラベンダーから抽出した精油だけが、本来、アロマテラピーで使用される効果・効能をもつグレードの精油になります。
このグレードの精油には、必ず上記のような植物データが記載された成分分析表が添付されています。成分分析表のない精油やあまりにも安価な精油は、有益な成分が含まれていないどころか真正ラベンダーですらないこともあるので注意して下さい(ラベンダーにもたくさんの種類があるのです)。
これぞ万能の精油!ラベンダーの効果・効能とは?
アロマテラピーの代表的な精油であり、また万能の精油とも呼ばれるラベンダーですが、どんな効果・効能があるのでしょうか。
上述した植物データをもつ真正ラベンダーの精油には、含まれる各々の芳香成分の薬理作用が解明されていることから下記のような効果・効能があります。
- 主な作用
- 鎮静作用、入眠作用、消毒・殺菌作用、抗ウイルス作用、粘液排出作用、消炎作用、解毒作用、癒傷作用、鎮痙作用、心臓強壮作用、血圧降下作用、白血球増殖作用
- 心への働き
- 中枢神経のバランスをとる。
- ストレスからくる緊張をほぐし、怒りを和らげて疲労を回復する。
- 抗うつ作用があり、躁鬱の症状を和らげる。
- 鎮静作用や入眠作用により、不眠の症状を解消する。
- 体への働き
- 血圧を下げ、心拍を鎮める。
- 感染症にかかりにくくする。
- 呼吸器系の障害全般において効果的。
- 通経作用により月経に関する障害を緩和する。
- 場所問わず、痛み、痙攣、炎症を緩和する。
- 肌への働き
- 細胞再生・成長を促す作用があるため、怪我、傷、火傷に効果的。
- 抗炎症作用により、ニキビ、湿疹、乾癬、日焼けによる炎症や痒みを緩和する。
- 皮脂分泌のバランスを整える。全肌質に対応。
- 水虫など皮膚の感染症予防と症状緩和。
さらに、肌に対して安全性が高い精油として知られており、通常、精油は原液を皮膚に塗布して使うことは禁じられていますが、ラベンダーは患部にのみ直接、塗布が可能な希少な精油です(ただし、禁忌事項を踏まえ、正しい使用方法を守ることが前提です)。
さすがラベンダーは万能の精油というだけあり、広い範囲でたくさんの効果・効能をもつことがわかりますね。
ちなみにラベンダーの効果・効用について、歴史的には20世紀にルネ・モーリス・ガトフォッセというフランス人が、ラベンダーの精油を火傷した皮膚に塗ったら治ることを発見したことに始まります。
ガトフォッセはここから精油の効能に着目し始め、’アロマテラピー’という新しい分野を開拓した人です。
そういった意味でもラベンダーはまさにアロマテラピーを代表する精油と言えるのではないでしょうか。
ラベンダーの精油のすごい効果・効能を知ったら、早速、使ってみたくなりますよね。
というわけで次はラベンダーの精油の使い方についてです。
アロマテラピー効果をもたらすラベンダーの精油を使い方
ここではラベンダーの精油1本と最小限準備するもので、今日からでもすぐに使える簡単な使用方法を紹介しています。
簡単&効果的な使用方法
ラベンダーの効果を活かすためのおすすめの使用方法として下記のものがあります。
- 芳香浴
- ハンカチや芳香器に精油を数滴垂らす。
- 吸入
- 熱湯を入れたマグカップなどに精油を1〜2滴垂らし、鼻を近づけて吸い込む。
- アロマバス
- いつもにお風呂に5滴まで精油を垂らす。
- フットバス(足浴)/ハンドバス(手浴)
- お湯を入れた洗面器に精油を2〜3滴垂らし、足や手を浸す。
- 局部的に塗布する
- 火傷やニキビなどの怪我や炎症がある患部に原液数滴を直接または綿棒につけて塗る。(注意)この方法はラベンダーとティートリーの精油のみ可能あり、他の精油では絶対に行わないようにして下さい。
- アロママッサージ
- ホホバオイルなどのキャリアオイル(植物油)に1%濃度(目安:キャリアオイル20mlに対して精油4滴)になるように精油を入れてマッサージオイルを作り、体のカサつく場所に擦り込んだり、コリや疲れを感じる所をほぐすようにする。またスキンケアとしても使える。
是非、いろんな方法でラベンダーの精油を使ってアロマテラピーを楽しんでみて下さい。
*これらの使用方法について、他の記事でも詳しく説明していますので是非、参考にしてみて下さい。(関連記事1)エッセンシャルオイル(精油)の使い方は簡単!今日から始められるアロマテラピー
他にも精油を使った方法はあるのですが、他に準備する基材が必要なので、また別の記事で取り上げていきたいと思います。
禁忌事項/注意点
精油はさまざまな特性をもつがために、使用の際に気を付けることがあります。
ラベンダーの精油は正しい使用方法を守れば安全性が高い精油ですが、それでも使用できない場合があります。下記の点に注意して使用して下さい。
・通経作用があるため、妊娠初期は使用しないで下さい。
・精油は薬ではないため、病気や症状の治療は医師に相談して下さい。
・精油を飲んだり、目や粘膜につけないようにして下さい。
・精油を使って何らかの異常が出た場合は直ちに使用を止め、皮膚についたものは洗い流し、それでも状態がおさまらない場合は医師にご相談下さい。
ラベンダーとの相性抜群!おすすめブレンド
ラベンダーの香りは、’渋さの中に甘みを感じるフローラル調の香りが内包されたくっきりとしたハーブ系の香り’です(香りの描写には個人差がありますが)。
ラベンダーの香りが凄く好きな人はラベンダーの精油だけでもそのまま楽しめますが、苦手な人でも他の精油とブレンドすることで、ラベンダーの香りを優しくしたり、もしくは香りを感じさせないようにすることさえも可能です。
実は、通常、アロマテラピーでは精油を2種類以上ブレンドして使用します。
それは香りがより複雑で繊細になるだけでなく、各精油のもつ特性が互いに効果を高め合う相乗効果というものが期待できるからです。
したがって、精油のブレンドを考える際には、必ず香りの相性と作用を考慮する感性と知識が求められます。
この点においてラベンダーの精油は基本、他のどの精油とも香りの相性も良く、また多くの効果・効能をもつために相乗効果をつくりやすいので、プロのセラピストはもちろん、アロマテラピー初心者にもおすすめできる精油なのです。
今回は、効果別でラベンダーと香りと作用共に特に相性良いブレンドを紹介します。上記の精油の使用方法と合わせて活用してみて下さい。
- とにかくリラックスしたい、よく眠りたい、瞑想時に
- カモミール、パチュリー、サンダルウッド、フランキンセンス、シダーウッド
- イライラや緊張、不安、ストレスを感じる、心のバランスを取り戻したい
- ベルガモット、スイートオレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、ネロリ、プチグレン、ローズウッド
- 肩こり、筋肉痛、頭痛など体のコリや緊張を和らげたい
- カモミール、ローズマリー、ペパーミント、ユーカリジュニパーベリー、シナモン、パイン
- 呼吸器障害の緩和、免疫力アップ
- ティートリー、ニアウリ、ユーカリ、ラベンサラ
- 下痢や便秘など消化器系の不調を改善したい
- ローズマリー、ペパーミント、シナモン、レモングラス、ベルガモット、スイートオレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、レモン
- 血圧が気になる
- マジョラム、サイプレス、サンダルウッド
- スキンケア、美容、魅力を高めたい、月経障害を緩和したい
- カモミール、クラリセージ、ゼラニウム、ローズ、イランイラン、ジャスミン
- 怪我や傷、肌トラブル、皮膚の感染症などの予防と対策
- ティートリー、カモミール、パチュリー、フランキンセンス、ローズ、レモングラス
さすが、万能のラベンダーだけあって、ブレンドのレパートリーも豊富ですね。
香りと作用ともに、自分に合ったブレンドを是非、見つけてみて下さいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アロマテラピーの代表的な精油であるラベンダーの効果・効能についての解説および、その使い方とおすすめブレンドについても紹介してきましたが、最後にまとめたいと思います。
- ラベンダーの精油の効果・効能を期待するのなら、必ず、植物学名や含まれる芳香成分の内容が確認できる成分分析表が添付された高品質ものを使用する。
- ラベンダーの精油は、心、体、肌への広範囲に対応した多くの効果・効能をもつ。
- ラベンダーの精油1本からでも、簡単に使える方法がいくつかあり、すぐにアロマテラピーを楽しむことができる。
- ラベンダーの精油を使用するにあたって必ず、禁忌事項や注意点を確認する。
- ラベンダーは他の精油とブレンドした際に、香りの相性が良いものが多く、作用においても相乗効果をつくりやすいためブレンドのレパートリーが多い。
確かにラベンダーの精油が万能といわれる理由も納得ですね。