コアラの好物として知られるユーカリですが、最近では風邪や花粉症対策のための市販のキャンディの原料としても使われるようになりました。
ユーカリの精油(エッセンシャルオイル)は安全性や効果・効能においても大変優れているため、アロマテラピーの中でもよく使われる代表的な精油のひとつでもあります。
実際、ユーカリの精油はアロマテラピーが補完的代替医療として認められているイギリスなどでは医薬品として認められていたりするほどです。
そしてアロマテラピーに詳しくなくても、ユーカリのクリアですっきりとした冷涼感溢れる香りを嗅げば、誰もがイライラやストレスが和らげられリフレッシュするのを感じられるでしょう。
そんなユーカリの精油について精油データや効果・効能はもちろん、どんなふうにアロマテラピーで活用したらよいかを詳しく解説しながら、ユーカリの目的別おすすめブレンド4種類も紹介していきます。
アロマテラピーで使うユーカリの精油について
アロマテラピーでよく使われる精油のひとつでもあるユーカリについて詳しく解説していきます。
ユーカリはどんな植物?
ユーカリはオーストラリアが原産の常緑樹で、高さが90mにも達する非常に大きな樹木で、青緑色の長い葉をもちます。
ユーカリは原産地であるオーストラリアの原住民アボリジニによって昔から民間薬として使われ、抗菌・癒傷作用のあるユーカリの葉を包帯にして重い外傷の手当てをしたり、葉をすり潰して湯をかけたものを消毒液や炎症を抑える薬として用いてきました。
またユーカリの木は植えることで土地の水はけを良くして健全な風土を生み出したり、空気の洗浄や消毒をする効果があることからマラリア、チフスなどの感染症の予防にも役立てられたりしています。
実際、オーストラリアへ行った人達の話によれば、ユーカリの木が植えられている場所は気温や太陽熱によってユーカリの葉の中の有効成分が辺りに放散されるため、とても空気が澄んでいて、そこにいるだけで気分が良くなるのだそうですよ。
ユーカリには種類があるの?
実はユーカリには600もの種類があり、そのうちアロマテラピーで用いられるユーカリは、ユーカリ・グローブルス、ユーカリ・ラジアタ、ユーカリ・レモンの3種類があります。
これらの3種類の大まかな特徴と使い分けとしては、
- ユーカリ・グローブルス
- シャープでクリアなしみ通る香り。高い抗菌・消毒作用をもつ。呼吸器の特に下気道(気管支・肺)への効果が高い。
- ユーカリ・ラジアタ
- カンファーの香りが強い。刺激が少ない。強い冷却作用。呼吸器の特に上気道(鼻・喉)への効果が高い。
- ユーカリ・レモン
- レモン様のシャープな香り。特に虫除け予防に効果がある。
になります。
ただ、この中でも特にアロマテラピーのサロンや、アロマテラピーが補完的代替医療として認められているイギリスなどで一番使われるのは’ユーカリ・グローブルス’ですので、ここからのユーカリに関する説明はユーカリ・グローブルスのこととしてお話していきたいと思います。
ユーカリの精油データについて
アロマテラピーの効果があるユーカリの精油データは下記の通りです。
- 一般名称:ユーカリ・グローブルス
- 植物学名:Eucalyptus globulus
- 植物科名:フトモモ科
- 主な原産地:オーストラリア
- 抽出部位:葉・枝
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- ノート:トップノート
- 主な成分:1.8-シネオール、ピネン、シトロネラール、カンフェン
ユーカリの精油を入手する際には、この精油データを確認してお買い求め下さい。
ユーカリの効果・効能について
では次に、アロマテラピーで活用されるユーカリの精油の効果・効能をみていきましょう。
上記の精油データをもつユーカリの精油には、下記のような効果・効能があります。
- 体への作用
- 免疫力を高め、抗ウイルス作用・抗感染作用により風邪やインフルエンザなどの感染症の予防や花粉症に有効
- 冷却作用により熱や体感温度を下げる
- 抗炎症作用により喉の痛みなどの炎症症状を和らげる
- 過剰な粘液を排出すため、鼻水・鼻づまり、痰を解消
- 頭痛、筋肉痛などへの鎮痛効果がある
- 心への作用
- 激しい興奮や怒りを抑え冷静さを取り戻す
- 頭をスッキリとさせ、眠気を防ぎ、集中力を高める
- リフレッシュさせることで精神疲労からの回復を促す
- 肌への作用
- 強力な殺菌・消毒作用により虫刺されや傷口、感染性の皮膚疾患に有効
- 抗ウイルス作用による疱疹に効果的
- やけどや日焼け、炎症症状を緩和する
- 傷をうけた後の膿の形成を抑え、細胞の修復と再生を促す
- うっ血に有効
ユーカリの精油は、筋肉痛、眠気、ストレスといった日常使いから、風邪やインフルエンザ、花粉症などの特定の季節に起こりがちな症状まで広範囲で対応していて、どんな時に使用したら良いかも明確で使いやすそうですね。
確かにオールマイティーな効果・効能をもち使い勝手が良いユーカリがアロマテラピーでよく使われる代表的な精油であるのも納得です。
ではユーカリの精油を使用するにあたって気を付けることはないのでしょうか?
ユーカリの使用上の注意・禁忌事項について
自然療法であるアロマテラピーで使用する精油ですが、100%天然のものとはいえ、含まれている成分とその作用によっては全ての人に使用できるとは限りません。
ユーカリの精油を用いる際の注意点と禁忌事項として、
- 皮膚や粘膜を刺激する場合があるので、使用量や濃度に気を付ける
- 刺激が強いため、高血圧やてんかんの人は使用を控える
がありますので、正しい使用を守って、安全なアロマテラピーをお楽しみ下さい。
アロマテラピーの効果を高めるユーカリのおすすめブレンド4種類の紹介
ここまででユーカリの精油のもつ特徴や効果・効能についてみてきましたので、ここからは実際にアロマテラピーの中でどのように使用したらよいかを解説していきたいと思います。
アロマテラピーにおいて通常、精油は単独で用いるよりも2種類以上をブレンドして使用します。
精油をブレンドする理由として、
- 目的に対して同じ作用をもつ精油同士の相乗効果を作れる
- 各精油のもつ特徴的な香りが混ざり合うことで繊細でやさしい香りになり、多くの人に受け入れやすくなる
- ノート(揮発度)の違う精油を組み合わせることで香りのバランスをつくる
というのがあります。
ただこの精油のブレンドは知識と感性と経験が必要で、アロマセラピストが必ず行なう技術です。
ここでは難しい技術がなくてもできる、ユーカリの香り、効果・効能を活かしたおすすめのブレンドのためのポイントをお伝えします。
ユーカリと相性の良い精油
アロマテラピーにおいて精油のブレンドで考慮すべく大事なことのひとつに、「香りの相性・組み合わせ」があります。
ユーカリの香りと相性の良い精油には、
- サイプレス
- ティートリー
- ニアウリ
- シダーウッド
- ジュニパーベリー
- ローズウッド
- ラベンダー
- ペパーミント
- バジル
- ローズマリー
- マージョラム
- レモン
- レモングラス
があります。
是非、ユーカリの精油とブレンドして使ってみて下さい。
ユーカリの4種類のおすすめブレンドとアロマテラピーの活用方法
ユーカリの効果・効能を活かした目的別のおすすめのブレンドとアロマテラピーの活用方法4種類を紹介します。
①イライラ、眠気、頭が重い、集中力をつけたい時
(おすすめブレンド)ユーカリ2滴+ローズマリーまたはペパーミント2滴+レモン1滴
(おすすめのアロマテラピーの方法)吸入
マグカップのお湯、ハンカチかティッシュに上記の精油を垂らして鼻からゆっくり吸い込みます。
仕事のオフィスや運転中の車の中などどこでも、頭をスッキリさせて精神を快活に刺激します。
②風邪、インフルエンザ、花粉症の症状改善や予防として
(おすすめブレンド)ユーカリ2滴+ラベンダー2滴+ローズウッド2滴
(おすすめのアロマテラピーの方法)芳香
マグカップの湯またはアロマウォーターに上記の精油を垂らして、空気の洗浄とウイルスの活動を弱めます。また鼻水や鼻詰まり、咳が緩和され、快適に過ごすことができるでしょう。
③頭痛、筋肉痛、体が重い時
(おすすめブレンド)ユーカリ3滴+ラベンダー2滴
(おすすめのアロマテラピーの方法)アロマバス
バスタブのお湯に上記の精油を垂らし、しっかりかき混ぜ入浴する。
湯気で立ち上る精油の芳香効果も楽しみながら、痛みや炎症、うっ血が緩和され、入浴後は体が軽くなるのを感じられるでしょう。
④怪我や皮膚の感染症、傷跡のケアに
(おすすめブレンド)ユーカリ2滴+ラベンダー2滴+ティートリーまたはレモングラス2滴
(おすすめのアロマテラピーの方法)アロマオイル
ホホバオイルなどのキャリアオイル30mlに上記の精油を希釈し、皮膚の患部に1日数回塗布するのを症状が改善するまで続けます。
皮膚を雑菌から守り、怪我や傷からの回復を早め、きれいな肌の状態に戻すのを助けます。
まとめ
ここまでユーカリの精油についての効果・効能と、おすすめのブレンドを使ったアロマテラピーでの活用の仕方について説明をしてきましたが、いかがでしたか?
では最後にまとめたいと思います。
- ユーカリの植物は原産地であるオーストラリアの原住民達が昔から民間薬として使用されてきたり、空気を消毒・洗浄するため伝染病予防としても植えられている
- ユーカリには種類があるが、アロマテラピーでは一般的にユーカリ・グローブロスが使われる
- ユーカリはシャープでクリアな冷涼感ある香りをもち、イライラを和らげ、頭をスッキリさせて集中力を高める作用がある
- 体や肌への効果・効能は多岐に渡るが、特に抗ウイルス・抗感染作用、消毒・殺菌作用、抗炎症作用、鎮痛作用、粘液排出作用に優れている
- ユーカリを使ったブレンドには香りの相性の良い精油と組み合わせると良い
- ユーカリを使ったアロマテラピーのおすすめの活用方法には相乗効果の期待できる精油のブレンドを使って、目的別に適した方法がある
ユーカリの精油があるだけでアロマテラピーの活用の幅がぐんと広がりそうですね。