健康的で美しい肌や髪、柔らかくメリハリある曲線のボディラインという、いわゆる’女性らしい’身体的な特徴をつくるのが、私達の体内で分泌される「女性ホルモン」です。
’いつまでも女性らしく美しくありたい’と願う女性にとって欠かせない女性ホルモンですが、外見的なことだけでなく、女性の月経周期、妊娠、出産にも関わるとても重要なホルモンです。
ところが女性ホルモンの分泌のバランスが崩れると生理痛になったり、またある年齢に差し掛かる頃に著しいホルモンの分泌低下が起こることで更年期障害が引き起こされたりします。
ということは逆に、生理痛や更年期障害の症状を改善するのに’バランスのとれた女性ホルモンの分泌’は重要な対策になるとも言えそうなのですが、実際にどうしたら良いのでしょう。
実はアロマテラピーで女性ホルモンの分泌を調えることができることをご存知でしょうか?
特にクラリセージの精油が女性ホルモンを調える素晴らしい作用があり、生理痛や更年期障害の症状を緩和することが分かっています。
これからアロマテラピーが女性ホルモンを調えるのか、そしてクラリセージの精油を使った生理痛や更年期障害へのケアの仕方について解説していきたいと思います。
アロマテラピーでどのように女性ホルモンを調えるの?
アロマテラピーがどのようにして女性ホルモンを調えるのかについて理解するために、まずは女性ホルモンについて詳しく説明していきたいと思います。
そもそも女性ホルモンとは?なぜ生理痛や更年期障害と関係するのか?
女性は一生のうち、特に思春期、成熟期、更年期と呼ばれるライフサイクルにおいて女性ホルモンの影響を強く受けます。
女性ホルモンによって影響を受ける女性の各ライフサイクルの特徴として、
- 思春期:女性ホルモンの分泌が活性化され二次性徴と呼ばれる性的な成長を促す
- 成熟期:卵巣機能が成熟させ、妊娠や出産に適した子宮や体の状態に保つ
- 更年期:一般には40代半ばからこの時期に入り、ホルモン機能が減退し、徐々に閉経に移行し、これに伴い更年期症状が現れる
があります。
このように、女性ホルモンは女性のライフスタイルそのものに大きく関わるわけですが、それはまた女性特有の様々な症状や病気を引き起こすことにもなります。
女性ホルモンの影響による女性特有の症状や病気の代表例として、
- 心身のバランスを崩しやすい
- 無月経、月経不順、生理痛、月経困難症、月経前緊張症など月経に関する症状
- 子宮筋腫や子宮内膜症など子宮の病気
- ホットフラッシュ、寝汗、情緒不安といった更年期障害の症状
といったものがあります。
男性には関係ない?!女性ホルモンの種類と働き
女性のライフサイクルそのものをつくる女性ホルモンには2種類あり、それらは特に女性の妊娠や出産に備えた女性の体つくりを支えます。
2種類の女性ホルモンは、
- エストロゲン(卵胞ホルモン)
- 成長期の女性の二次性徴の発現と維持
- 子宮内膜の増大
- プロゲステロン(黄体ホルモン)
- 肥沃した子宮内膜の保護し、受精があった場合は妊娠の維持
- 排卵の抑制
があります。
では、女性ホルモンは女性だけに影響を与えるものなのでしょうか?男性には女性ホルモンが分泌されないのでしょうか?
実は男性も体内で分泌される男性ホルモンから僅かですが女性ホルモンが作られています。
ちなみに女性ホルモンが男女ともに共通して作用するのは
- 肌や髪を美しく健康に保つ
- 骨を丈夫にする
- 自律神経を安定させる
- 血中のコレステロールを下げる
- 記憶力を保つ
- 食欲を抑制する
といったものがありますので、家族、彼氏、友人などあなたの身の回りの男性にとって、この後に続くアロマテラピーで女性ホルモンを調えていくことに関する内容について活用できるところは是非、教えてあげて下さいね。
アロマテラピーの女性ホルモンへの作用の仕方は?
いよいよ、アロマテラピーが女性ホルモンにどのように作用して、調えていくのかについて説明をしていきたいと思います。
アロマテラピーにおける女性ホルモンを調える効果・効能と精油について
実はアロマテラピーで使用する精油の中には、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た化学構造をした成分を含むものがあり、それが「女性ホルモン様作用」という効能・効果をもつことが分かっています。
この「女性ホルモン様作用」をもつ代表的な精油が’クラリセージ’です。
クラリセージの精油成分の中でジテルペノール類の’スクラレオール’という成分が、女性ホルモン様作用をもつことが知られています。
そしてこれに加えて、クラリセージは女性ホルモンを分泌する卵巣を収める子宮を強壮する作用もあるため、この2つの作用で、強力に’女性ホルモンを調える’サポートをする代表的な精油です。
以前、アロマサロンの現場で、半年以上生理がない無月経であったり、毎回の生理痛が酷い、更年期障害で悩まれているといったクライアントさん達にクラリセージをアロマテラピーのマッサージの施術で使用したり、自宅でのホームケアとして使用したことがありました。
すると2〜3週間のうちに全員の症状の改善が見られ、クラリセージの精油の凄さを身をもって実感しました。(*個人の体験であり、全ての人に効果を保証するものではありません)。
女性ホルモンを調えるクラリセージの精油は、まさに女性の体(卵巣)がもともと持っていたリズムに働きける、アロマテラピーの有益なアプローチの仕方といえます。
アロマテラピーが女性ホルモン分泌に根本から働きかける凄い理由
実は上述した2種類のホルモンは、脳下垂体前葉と呼ばれる間脳にある内分泌腺から分泌される性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体刺激ホルモン)の司令を受けて、卵巣内で分泌が促されます。
そして、この脳下垂体前葉と連携を取っているのが自律神経の司令官である’視床下部’と呼ばれる部分なのですが、アロマテラピーにおいて精油の成分はこの視床下部に電気シグナルの刺激を与え、身体の内蔵機能を調整することが分かっています。
これに関しては詳しく別の記事で説明していますので、是非、参考にしてみて下さい。(関連記事)【アロマテラピー】エッセンシャルオイル(精油)の香りは嗅ぐだけでも効果が凄い!その2つの秘密とは?
この視床下部の機能を調えることは、また協力関係にある脳下垂体前葉の健全に保ち、そしてこれが、調和された卵巣内の2種類の女性ホルモンの分泌を促すことに繋がります。
ここにも私達の身体機能の内側から基盤を調える、アロマテラピーの深遠で素晴らしい働きを確認することができますね。
アロマテラピーで女性ホルモンを調えるクラリセージの精油について知ろう
アロマテラピーで活用していけるように、女性ホルモン様作用や子宮強壮作用をもつクラリセージの精油について説明していきたいと思います。
クラリセージの精油のプロフィール
クラリセージの精油に関する植物学的情報や効果・効能は下記の通りです。
- 一般名称:クラリセージ(Clary sage)
- 植物学名:Salvia sclarea
- 植物科名:シソ科
- 主な原産地:フランス、モロッコ
- 抽出部位:花の先端部と葉
- ノート:トップ〜ミドル
- 主な成分:酢酸リナリル、リナロール、ネロリドール、スクラレオール
- 主な効果・効能
- 精神的なストレスからくる筋肉のこりや痛み、頭痛や偏頭痛を緩和させる
- 女性ホルモンのバランスを調整し、子宮を強壮する
- ストレスや不安を和らげ、神経質な心の状態を前向きにさせ、幸福感をもたせる
- 病後の体力回復を促す
- 炎症やむくみのある肌に効果がある
- 頭皮のトラブルに有効で、油っぽい髪やフケを改善したり、髪を成長促進させる
このように女性ホルモンを調えるだけでなく、広範囲に及ぶ効果・効能をもつ素晴らしい精油だということが分かります。
特に、女性ホルモンの分泌が精神的なストレスによっても大きく左右されることが分かっていることから、クラリセージの精油の心や精神面への効果・効能は女性ホルモンを調えるという今回のテーマにおいて重要なポイントになります。
そんなクラリセージの精油は強く深みのあるハーブ系の特徴的な香りをもち、ほんの少量であってもその香りと効果は大変パワフルな精油です。
クラリセージの精油の使用にあたっての注意点
精油はそこに含まれる芳香成分による効果・効能があるのと同時に、特定のケースにおいて使用の際に気を付けなければいけないことがあります。
クラリセージの精油の使用で気を付ける点として、
- 妊娠時は使用しない
- 多量に使用すると頭痛を起こすことがある(特にアルコール飲用後は使用を控える)
- 集中力が弱まるので、車の運転時は控える
といったことが挙げられます。
使用方法が不明な場合は、プロのアロマセラピストに相談するようにして下さい。
クラリセージの精油で生理痛や更年期障害を改善するアロマテラピーの方法
女性ホルモンのバランスの乱れや、またそれを引き起こす精神的ストレスに効果的に作用するクラリセージの精油を使って、女性特有の悩みで代表的な生理痛と更年期障害のそれぞれの症状を改善するためのアロマテラピーの活用方法について具体的に紹介していきたいと思います。
女性ホルモンを調えるクラリセージ以外の精油
実はクラリセージ以外にも、女性ホルモン様作用や子宮強壮作用をもつ精油に
- ゼラニウム
- シナモン・リーフ
- イランイラン
- ジャスミン
- ローズ
があり、女性ホルモンが関わる女性特有の諸症状全般において有効です。
アロマテラピーでは精油は単独で用いるよりも同じような作用をもつ精油を2種類以上ブレンドした方が相乗効果が生まれるため推奨されていますので、上記の精油とクラリセージをブレンドして使用するとより効果が期待できます。
生理痛のためのアロマテラピー
生理痛は生理に伴うお腹の痛みや不快感のことですが、クラリセージの精油はまさにうってつけです。
それは女性ホルモン様作用や子宮強壮作用をもつことに加え、クラリセージの酢酸リナリルという成分が優れた鎮痛作用をもつことから、子宮の強い収縮による生理痛の痛みを和らげてくれるからです。
この酢酸リナリルはラベンダーの精油にも含まれるので、クラリセージとブレンドして使用するとアロマテラピーの相乗効果が期待できます。
さらにラベンダーは高い鎮静作用(リラクゼーション効果)があるため、生理痛に伴う精神的ストレスを緩和するため、この点においても生理痛にはクラリセージと共に是非、おすすめしたい精油です。
ラベンダーの精油については別の記事で詳しく説明をしていますので是非、参考にしてみて下さい。(関連記事)【アロマテラピー】万能の精油ラベンダーの効果・効能を徹底解説!おすすめブレンド&使い方も公開
生理痛のアロマテラピーのレシピと方法
生理痛の改善には、子宮周りの血行を良くすることで子宮筋の激しい収縮や痙攣を和らげたり、精神的ストレスを緩和するアロマテラピーの方法がおすすめで、
- アロマバス
- クラリセージ3滴とラベンダー2滴を浴槽の湯に垂らし、よくかき混ぜて入浴する
- アロママッサージ
- クラリセージ3滴とラベンダー3滴をスイートアーモンドオイル(他のキャリアオイルでも可)30mlで希釈し、腰や腹部を擦るようにマッサージする
が、簡単でいてとても効果的です。
更年期障害のためのアロマテラピー
女性の更年期は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少する時期であり、この時期に起こる心身共に不安定な状態、ホットフラッシュ、寝汗、動悸、めまい、のぼせ、肩こり、頭痛、イライラなどの不快症状は「更年期障害」と呼ばれます。
更年期障害の症状の現れ方・程度や時期は個人差が大きいですが、クラリセージの精油を中心に使用したアロマテラピーは更年期障害の症状改善に大変、有効です。
更年期障害のアロマテラピーのレシピと方法
更年期障害の改善のためのアロマテラピーのアプローチは、生理痛同様、やはりクラリセージの精油のもつ女性ホルモン調整作用、子宮強壮作用、気持ちを前向きに幸福感を高めることで精神的ストレスを和らげることが基本になります。
これに、更年期障害特有の症状に合わせた精油をブレンドすると効果的で、
- アロマバス:下記の精油と滴数を浴槽の湯に垂らし、よくかき混ぜて入浴する
- (ホットフラッシュ/ほてり/寝汗)クラリセージ2滴、サイプレス2滴、(ゼラニウム、ローズ、イランイラン、ジャスミンの中から好きな香りの精油を1つ選び)2滴
- (頭痛/動悸/情緒不安定/肩こり/イライラ)クラリセージ2滴、ラベンダー2滴、カモミール2滴
- アロママッサージ
- クラリセージ2滴、サイプレス2滴、(ゼラニウム、ローズ、イランイラン、ジャスミンの中から好きな香りの精油を1つ選び)2滴をスイートアーモンドオイル(他のキャリアオイルでも可)30mlで希釈し、肩周り、手足、疲れやだるさを感じるその他の体の部分をマッサージする
がおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
アロマテラピーで女性ホルモンを調え、クラリセージの精油で生理痛や更年期障害をケアする方法について解説をしてきました。
最後にまとめたいと思います。
- 女性ホルモンは女性のライフサイクルに常に影響し、これが生理痛や更年期障害など女性特有の症状を引き起こす。
- アロマテラピーでは女性ホルモン様作用や子宮強壮作用のある精油が女性ホルモンを調え、その代表的な精油がクラリセージである。
- 精神的ストレスにより女性ホルモンの分泌が乱れることから、アロマテラピーでは精神的なケアも重視し、クラリセージの精油はこの点においても優れた作用をもつ。
- 生理痛や更年期障害の症状を改善するのにクラリセージの精油を中心に相乗効果を高める他の精油をブレンドしたアロマテラピーの有効な方法がある。
クラリセージの精油は女性の一生を通じて頼もしいサポーターですね。女性特有の症状にこんなにも簡単に効果的な方法でアロマテラピーを取り入れられるのがいいですね。