多くの人が抱える肌の深刻な悩みのひとつにアトピーがあります。
最近の調査によると、国内のアトピーの患者数は45万人を超えており、皮膚疾患の中でも2番めに多いのがアトピーなのだそうです。
皮膚の発疹、白く粉をふいたようなカサつき、ジュクジュクした湿潤肌といった外見的な特徴と、激しい痒みや痛みといった不快感が伴うアトピーは本当に悩ましいですし、何とかして症状を改善していきたいですよね。
実は、アトピーの症状を効果的に改善していける方法のひとつに自然療法であるアロマテラピーがあるのをご存知でしょうか?
ここではアロマテラピーでアトピーをどのように改善していけるのかについて詳しく解説していきます。
そしてさらに、アトピーに効果的と言われているティートリーの精油についてその作用や、アトピーを改善していくための具体的な使い方についても紹介していきます。
なぜアロマテラピーはアトピーに効果があるの?
アロマテラピーがアトピーに効果があるのかについて理解する上で、まずアトピーとはどういうものなのかを説明していきたいと思います。
アトピーとはどんなもの?なぜ起こるの?
アトピーは、正式には「アトピー性皮膚炎」と呼ばれる、湿疹の一種です。
湿疹は外界の刺激から生体を防衛しようとする皮膚の反応で、その中でもアトピー性皮膚炎はアレルギー体質が原因で起こる免疫系の疾患とされ、発症頻度が高い湿疹とされています。
そしてアトピーの多くのケースで、皮膚のグジュグジュとした部分で黄色ブドウ球菌が増殖しており、これが痒みや痛みを引き起こし、不快感やストレスになっていたりします。
このアトピー発症につながるアレルギーの原因となりやすいものは大きく2つあり、
- 乾燥肌または物理的刺激に弱い敏感肌
- 表皮の角質層内にセラミドとして存在する脂質部分の減少と皮膚の免疫力の低下
- 食べ物や環境上の特定の抗原(ダニやハウスダストなど)
- 体が些細なものを抗原とみなし、過剰に反応する
があるとされています(ただし原因が明らかでないケースもあるようです)。
ということは、逆に、
- 皮膚(特に角質層)に適度な湿潤が保たれ、皮膚の防御機能を高めてあげること
- 免疫系のバランスを調えて、アレルギー反応の誘発を抑える
という対処ができれば、アトピーの症状を緩和することができるといえそうです。
では、実際にどうやったら良いのでしょうか?
これらの対処が可能な、効果的な方法のひとつにアロマテラピーを活用する方法があります。
アロマテラピーがアトピーを改善できる3つの理由
実はアロマテラピーはアトピーの原因に働きかけ、その症状を改善させる大変優れた効果があります。
具体的にどんな風にアロマテラピーがアトピーに効果的に働くのかを説明していきたいと思います。
理由①アロマテラピーは自然治癒力を高める
アロマテラピーで使用する精油は、その香りを嗅ぐだけでそこに含まれる芳香成分が脳内の大脳辺縁系と視床下部と呼ばれる部分に電気シグナルとなって伝えられ、
- 大脳辺縁系:本能、情動、記憶といった私達の基本的な生命現象を司る
- 視床下部:自律神経、内分泌系、免疫系を統御することで、体の内外の環境の変化に合わせて、常に私達の体の健全な状態を保つ
に働きかけます。
また精油の心地よい香りは、大脳辺縁系や視床下部において調和をもたらし、ストレスの軽減することも分かっています。
これこそがアロマテラピーが体や心に働く基本となるメカニズムで、私達の感情を調え、本来もっている体の自然治癒力を高めることで、健康維持、病気の予防、病気からの回復を早めることにつながります。
よって、今回取り上げているアトピーを改善していく上でも、体の健全基盤を調え、体自らの治癒していく力を高めるアロマテラピーは大変、効果的であると言えます。
*これに関してもっと詳しく別の記事で取り上げていますので、是非、参考にしてみて下さい。(関連記事)【アロマテラピー】エッセンシャルオイル(精油)の香りは嗅ぐだけでも効果が凄い!その2つの秘密とは?
理由②アロマテラピーには免疫系を強壮する精油がある
免疫系の疾患によるアレルギー反応であるアトピーを改善するために、アロマテラピーは免疫系を正常に調えるということにおいても大変、効果的です。
まず、上述の①の理由からも、アロマテラピーが心身に作用するメカニズムのひとつに視床下部による’免疫系’を調えることを説明しましたが、それに加えて特定の精油にも’免疫系を強壮する作用・効能’をもつものがあります。
特にアトピーの原因や状態に効果的な、免疫系を強壮する作用・効能のもつ精油の代表として、’ティートリー’がおすすめです。
理由③アロマテラピーには皮膚機能を高める精油がある
アトピーは皮膚の適度な湿潤と防御機能を調えることで症状を改善することができるわけですが、皮膚機能を高める作用のある精油があることでアロマテラピーによる効果的なケアが可能になります。
まずアトピーの原因になる皮膚の防御機能を調えるのに効果的な精油のもつ作用として、
- 抗菌作用、抗真菌作用、殺菌作用(ブドウ球菌や他の雑菌の増殖を抑える)
- 消毒作用(皮膚上の菌の活性を抑える)
- 抗感染作用(皮膚の免疫力を上げる)
- 瘢痕形成作用、癒傷作用(アトピーのグジュグジュした皮膚組織をきれいに治すのを助ける)
- 皮膚の強壮作用、浄化作用(皮膚機能を調える)
が有効であり、皮膚への安全性もふまえて、ここでもやはり’ティートリー’の精油がおすすめです。
そしてさらに、アトピーに効果的なのは精油だけでなく、その精油を希釈するキャリアオイル(植物油)を上手に用いることで更に効果が高まります。
キャリアオイルはアトピーの乾燥敏感肌にしっとりさせながら浸透性も高い保湿力を与える上に、含まれる有効成分によりアトピーの症状を改善させることも可能です。
おすすめのキャリアオイルは、
- ホホバオイル
- イブニング・プリムローズオイル(月見草油)
- ボリジオイル
- カレンデュラオイル
で、どれもアトピーのような敏感刺激肌にも使用でき、抗炎症作用、湿疹や痒みを緩和する作用があります。
またキャリアオイルは精油のもつ揮発性による皮膚や粘膜への刺激を抑える効果もあるため、アトピーに効果的な精油としておすすめしているティートリーと一緒に用いるとより安全でかつ相乗効果も期待できるアロマテラピーの優れた活用方法になります。
*キャリアオイルについては別の記事で詳しく取り上げていますので、是非、参考にして下さい。(関連記事)アロマテラピー効果を倍増するキャリアオイルを徹底解説!セラピストおすすめの11種類を紹介
というわけで、ここからはアロマテラピーがアトピーに対して効果的に作用するティートリーの精油についてもう詳しく説明していきたいと思います。
アロマテラピーでアトピーに効果的なティートリーの精油が凄い!
アトピーに効果のあるティートリーの精油についてみていきましょう。
ティートリーの精油のプロフィール
ティートリーの精油に関する植物学的情報や効果・効能は下記の通りです。
- 一般名称:ティートリー(Tea tree)
- 植物学名:Melaleuca alternifolia
- 植物科名:フトモモ科
- 主な原産地:オーストラリア
- 抽出部位:葉
- ノート:トップ
- 主な成分:テルピネオール、シネオール、シメン、ピネン、テルピネン
- 主な効果・効能
- ショックで落ち込んだ心をリフレッシュさせ、立ち直らせる
- 強力な殺菌消毒作用があり、体内の毒素を排出する
- 免疫力を強化し、病気を予防したり、病気からの回復を早める
- 歯肉炎、胃腸炎、膀胱炎、膣感染症を好転させる
- 水疱瘡、掻痒症、発疹、虫刺されなどによる痒みを和らげる
- 肌に対して浄化力が強く、傷、発疹、膿、火傷などから好転させ、きれいに治す
- 抗ウイルス作用と殺真菌作用によりイボ、たむし、疱疹、水虫に効果がある
- 頭皮の乾燥やフケを改善させる
ティートリーの精油は、皮膚の防御機能の低下とブドウ球菌の増殖による痒み、免疫疾患による過剰反応というアトピーの原因に対して、皮膚の殺菌・殺真菌作用、痒みの緩和、免疫力の強壮といったアトピーの症状改善に効果的な作用があることが確認できますね。
さらにティートリーはアトピーに限らず、普段の健康維持や病気予防、怪我や頭皮ケアなど、日常のいろんな場面で使用できる優れた精油だということがわかりますね。
またティートリーの香りですが、爽やかで清潔感がある、多くの人が受け入れやすい香りで、安全性や作用の面からもアロマテラピーでとてもよく使われる精油のひとつです。
ティートリーの精油の使用にあたっての注意点
ティートリーは正しい使用をする限り、アロマテラピーで扱う精油の中で安全性が高い精油です。
しかし、皮膚の敏感な部分に使用すると、刺激を感じることがあります。
特に、今回取り上げている「アトピー」の症状改善ためにティートリーを使用する際は、濃度を薄めて用いたり、肌への刺激が少ない、このあと紹介するアロマテラピーの方法で用いるようにして下さい。
ティートリーの精油でアトピーを改善するアロマテラピーの方法
ここまででティートリーの精油がアトピーにとても効果的であることが分かりました。
この後、このティートリーの精油を使ったアロマテラピーの方法について紹介をしていきたいと思うのですが、その前に、アロマテラピーの効果をより高めるためのもうひとつのポイントとして、’精油は2種類以上をブレンドすると相乗効果が得られる’というのがあります。
アトピーへの効果を高めるティートリーとブレンドするのにおすすめの精油
アトピーを改善するのにより効果を高めるのに、ティートリーの精油とブレンドをおすすめしたいその他の精油は、
- ラベンダー(免疫系の強壮、皮膚の強壮、鎮痛作用、鎮静作用)
- ローマン・カモミール(抗炎症作用、抗アレルギー作用、鎮静作用、皮膚の強壮)
- ローズウッド(免疫系の強壮、皮膚の強壮)
- ネロリ(皮膚の強壮、鎮静作用)
- サンダルウッド(皮膚の強壮、抗炎症作用、保湿効果)
があり、どれも皮膚への安全性が高く、この中のどれと組み合わせても香りの相性もよく、相乗効果が期待できます。
アトピーに効果があるアロマテラピーのおすすめの方法
ティートリーを使った、アトピーの効果を高めるアロマテラピーの方法がおすすめとして、
- オイル塗布
- ティートリー1滴、ラベンダー1滴、ローマン・カモミール1滴を20mlのキャリアオイル(ホホバオイルなど)で希釈し、1日数回、患部に塗る
- アロマバス
- 上記の「オイル塗布」で作ったアロマオイル5滴をお風呂の湯の中に入れ、入浴する
という方法が、簡単でいてとても効果的です。
ティートリーとブレンドする精油はもちろん、ラベンダーやローマン・カモミール以外に前述したその他の精油でも良いです。
アトピーに対してアロマテラピーを行なう上での注意点
アトピーに効果的な精油やキャリアオイルの紹介をはじめ、アロマテラピーの方法についてお伝えしてきましたが、アトピーは肌が刺激に弱くとても敏感な状態であることや、使用する個人の体質、体調、生活環境などによって全ての人におすすめできるというわけではありません。
’皮膚に異常が出た’、’体調や気分が悪くなった’など異変があった場合には、直ちにアロマテラピーのご使用をお止め下さい。
またアロマテラピーは医療にとって代わるものではないので、アトピーの治療を医療機関で受けている場合において、処方されている薬を自己判断で勝手に止めないようにして下さい。
そして、アロマテラピーで使用する精油やキャリアオイルは高品質のグレードのものをお使い下さい。
まとめ
いかがでしたか。
アロマテラピーでアトピーをどのように改善できるのか、特にアトピーに効果があるティートリーの精油についてその使い方を解説をしました。
最後にまとめてみたいと思います。
- アトピーはアレルギー体質が原因で起こる免疫疾患で、外界の刺激から生体を守ろうとする皮膚の防衛反応である湿疹の一種である。
- アロマテラピーは自然治癒力を高めたり、免疫系を強壮したり、皮膚機能を高めることによってアトピーに効果的に作用することができる。
- アトピーに効果的な作用をもつ精油として、ティートリーがある。
- ティートリーと共に、アトピーに有益な作用をもつ他の精油やキャリアオイルを用いることでより効果を高めることができる。
- アトピーへのアロマテラピーのおすすめの方法として、ティートリーを取り入れたオイル塗布やアロマバスがある。
アロマテラピーは活用する際に、同時に香りも楽しめるので、アトピーの不快な症状によるストレスのケアも同時にできますよ。